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最近の
建築現場で
カンナ屑
見ます?



最近 住宅建築現場で“カンナ屑”をトンと見かけない

シュルシュルと透き通った音をたてて 大工がひく鉋から飛び出してくる透き通ったヤツだ

子供の頃 魔法のように繰り出てくるカンナ屑を見ていて飽きなかった



今どき 普通の住宅建築現場でカンナ削りしていると

大工仲間から 「おまえ馬鹿か!」と罵られるぐらい

プレカット主流のハウスメーカーでは 鋸(ノコギリ)の使用も制限される

理由は 現場が散らかるから

鋸を挽くと散らかる挽き粉を一々掃除しないと現場監督に怒られる


仕事してるより 掃除してる時間のほうが多いぐらいだと笑う



木造住宅は 木材を使うから木造住宅

山に木を植え

太くなったら伐採して

製材屋 材木屋などを点々として

木は “木材”とか“材木”とか“製材”に名を変える



材木は 建築屋に運ばれ

切られ 削られ 溝を付つかれて・・・ “建築部材”となる

柱や鴨居や床板や羽目板だ



大工さんが 部材を一本一本造作して 住宅は形づくられていく

部材を造る作業は 大工さんが 作業場や建築現場でやっていたものだったが・・・

今では 工場で作られた製品に取って代わられ

加工屋と呼ばれる専門業者が代行して作られる



専ら大工は 部材を取り付ける事のみに精を出す

工期短縮とコストダウンの荒波にのまれ

“カンナ屑”が 現場から消えた




“スローライフ”という言葉があるが

今 私は ゆっくりと“セルフビルド”に挑んでいる



住まいながらなので さっさと終わらせたいのだが

私の技量と耐力では

大工さんの造作工事を見まねるようにスムーズに運ばない



だから 急がず 焦らず 怪我をしないように

自分流

 “スローライフ”

ならぬ

 “スローセルフビルド”

を愉しんでいる



 “スローセルフビルド” には既製品は似合わない

今どきの大工がやらなくなった

住宅部材を加工(作る)ことから   

“スローセルフビルド” を愉しむことにしている



愛着のある古材を

安価な素材を

残った部材を

ほかの部材に作り替えたり

趣きのある部材に加工したり

使い道を思案したり・・・



出来合い高価な部材を 職人が丁寧に拵えれば いい家が出来るに決まっている

それだけじゃつまんない

せっかく“セルフビルド”するのだから

トコトン造り込もうと・・・



それはキレイじゃないし

不揃いでもある

上手くもないけれども・・・

独り善がりでも

味わい深いものを求めて・・・



以下は、杉の野地板を使って内装壁に張る板を拵えている様子。
     ※野地板:屋根の下地に用いられる板。不揃いで醜い板も含まれている。
      追加:下に仕上がった壁の写真掲載しました。2007.02.10

※こんな、馬鹿みたいに手間のかかる作業を、決して大工さんに頼んではいけません!
大工さんの日当計算したら、“相欠き板”の製品を買ったほうがずっと安く良いものになります。
自分の“日当”を度外視した“セルフビルド”だからできる馬鹿げたハンドメイドです。



杉の野地板
12×105×1820o
1束=1坪(17枚縛り)
→10束

カインズ価格
\1,250×10=¥12,500円

因みに
針葉樹合板が1枚 \1,300円もしている。
12×910×1820
だから
2枚で1坪分だから
1坪\2,600円ってこと

2006年4月
針葉樹合板1枚 \748円だった頃に100枚ほど買いだめをしておいてのは正解だった!

このままでは、野地板と言って屋根の下地板に用いられる物なので、寸法は大雑把で表面は粗くキレイなものではない。

よく見ると
木口(こぐち:切り口)には細かな石粒が・・・

木口に、石などの硬い物が付着したままカンナ削りをしてしまうと刃が欠けてしまう恐れがあるので少しだけ切り捨てる。

ホントは、もっと切り捨てたいところだが、長さが1820oギリギリしかないのでケチってちょっとだけ・・・

四面とも“自動カンナ”で削って、幅と厚みを揃える。

削った分だけボリュームが減っている。

170枚を四面とも削って疲れた。

ここまで削る作業だけで5時間もかかってしまった。

“溝切りカッター”を用いて、
“相欠き”にする部分を欠き取る。


同様に、裏返して反対側も欠き取る。

170枚、間断なくやって、ざっと3時間もかかった。

“相欠き”は、大きな欠きに小さな欠きを重ね合わせる。

欠き取り大きさの違いによって、重ね合わせると隙間が生まれる。

これを、目透かしという。

どちらを面を表にするか?

木表を表に統一しているのだが・・・上の大きな欠き取りをしている写真の板は、表裏間違えていたようです。

この写真の、右が下、左が上になるように、板を水平に下から上へと張り上げていく。

ただ、このままだと 目透かしの部分に埃がたまってしまう。

そこで、もう一手間かける。

目透かしとなる部分の直角の角の部分を45度斜めに削り取る。

“トリマ”という小さな電動工具にV溝ビットを取り付けて切削。

面の仕上りは、面取りカンナのようにキレイにならないのが難・・・

両面とも面を取って、
“相欠き板”は ほぼ完成

この作業、3時間近くかかりました。


最後の仕上げは
“超仕上げカンナ”

その辺の大工さんの手鉋じゃぁ、こんなに幅広く削れるもんじゃない

偶然
目にとまった
カンナ屑

どことなく
クリクリお目目の
フクロウさんに
似て見えました

これまでの作業時間
すべて純作業時間です。

こうしてキレイに積み上げたり、
支度・片付け、清掃時間は含まれません。

最後は
キレイに片付け・掃除して



オ・シ・マ・イ


実際に壁に張った後の写真は、後日施工後に・・・








・・・てなわけで、
格安な“杉の野地板”を自分で“相欠き”加工して張ったのが下の写真です。


 “針葉樹合板”より安い素材とは思えません。(2007.02相場)
若干、きれいな板を集めてますが・・・
もっとキレイな“無節”の板も、170枚のうち1/3ぐらいありました。
結構良い束に当たりました。
あまりキレイでない板は、家具などに隠れてしまうところに張ります。

 因みに、天井板は、“杉浮造り”加工板です。
格安品を見つけまして、“相欠き”加工をして張りました。 →“針葉樹合板”とほぼ同じ坪単価でした。



P.S

住宅地の庭先でこんな作業しているものだから

電動工具が木を切削する音がウルサイ・・・

木の粉や細かなカンナ屑なんかの飛散も・・・

家庭ごみ置き場へ出す“燃えるゴミ”の量もハンパじゃない・・・

周辺関係の方々ゴメンナサイ!

あと少しで終わらせるつもりなんだけど・・・

なにせ、こんな感じで “セルフビルド” しているものだから 進みが鈍くて・・・

2007.02.04

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