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地歴


これは、浜松市東区有玉台の航空写真(最新)です。
赤まる印が豊夢創屋になります。


つぎは、平成18年現在最新の1/2500地形図です。
(画像の縮尺は縮小されています)


つぎは、昭和51年(1976)測図の地形図です。(ほぼ赤印が豊夢創屋です)
東名高速道路と左斜め上を除いては、随分と地形が変わっています。


つぎは、1981年撮影の航空写真です。
1976年の地形図と比べて若干開発が進んでいますが、有玉台が深い森や谷だったことが一目瞭然です。


次は、最新と昭和51年の地形図を重ね合わせたものです。
赤いところが豊夢創屋です。
三方原台地の東端で、豊夢創屋のすぐ東側から深い谷の急斜面が続いていました。


平成18年、豊夢創屋は移転しました。
この土地を購入するにあたり、“地の利”、“価格”などもさることながら、三方原台地上の地盤の安定したところを探しました。


次は、静岡県地震対策地質条件図の抜粋です。
図中央赤○あたりが豊夢創屋の場所になります。

有玉台というところは、天竜川氾濫原の西端から三方原台地上までの山林や農耕地を区画整理により宅地造成されました。

この天竜川氾濫原西端にあたる有玉西町から半田町にかけて、三方原台地から侵食された谷筋には、泥砂礫質地盤(Amg)が広がっています。
私は、古くからこの地図を所蔵しているので、有玉台といえども下部のほうは地盤が良くないことを承知していました。

地図上の記号を注釈すると

記号 地質 地盤種別
洪積層 D1 低位段丘堆積物(礫層) 第2種地盤
D2 中位段丘堆積物(礫層)
D3(D1とD2の間)
高位段丘堆積物(礫層)
沖積層 Ag 礫~砂礫質地盤
Amg 泥砂礫質地盤 第3種地盤

この“第2種地盤”と、“第3種地盤”とでは雲泥の差があります。
静岡県建築構造設計指針では、耐力壁(スジカイ)の壁量計算の際地盤の種別などで割り増し率を定めています。

具体的には、耐力壁をつり合いよく(偏心率を少なく)配置した場合において第2種地盤では建築基準法で求められる耐力壁の所要倍率の1.32倍、第3種地盤では1.98倍を静岡県建築構造設計指針で要求されます。

つまり、第3種地盤の地域に木造住宅を建てる場合は、建築基準法の約2倍のスジカイを入れたり構造用合板等を張ったとしても静岡県ではギリギリの設計でしかありません。



そんなわけで、有玉台といえどもなるべく頂部のほうで谷や斜面の埋め立てられたところ以外の平坦だったところを探し求めていたところ、たまたま買い求める事ができたのが豊夢創屋の現在地になります。



そのうえ幸運な事に、私はこうした資料だけでなくその昔私はこの地を見知っていました。
三方原台地の東端を東名高速道路を横切って東北東に伸びる農道を毎日通勤に通っていたからです。

その道の西側は三方原の耕作地、東側はなだらかな原野に雑木が茂り、茶畑も広がっていました。
そのうえ、区画整理の直前、その場所は遺跡調査が行われていました。
草木と表土が取り払われたなだらかな平坦地をブルーシートが覆っていました。

また、18年当時、国土地理院のHP内の航空写真アーカイブから、ちょうどブルーシートで覆われた様子も確認できました。

建築する際には、擁壁工事のため地面を掘り下げたところ、ここが三方原台地を形成した河岸段丘である証拠も発見できました。
硬く締まった赤土の層に挟まれるように砂礫や砂(川砂)の地層が確認できたのです。
地山だったこと(埋め土でない段丘堆積物(礫層))が確認できました。





こんな山のてっぺんのほうに、太古の昔に川底であった証があること自体不思議な感じもしましたが、これで本当に安心して住まい造りをすることができました。

これから土地を購入して住まい造りをお考えの場合は、ぜひその土地の“地歴”も調べられる限り調べてみるのも良いのではないでしょうか?…。
買い物の便が良いとか、学校に近いというだけが良い土地とは限らないという視方もあると思います。

ただし、購入希望の土地や先祖代々住み継がれてきた屋敷の地盤が悪いからといって100%否定するものではありません…。
現在では建築技術や地盤改良等の発達により、どんな土地でも耐震性の高い建物を建てることは可能です。
しかし、そのための地盤の表層改良や柱状改良、杭打ちなど相当の費用が別途かかることは歪めませんが…。

それらを天秤に掛けて、良いと判断されれば、それも良しと思います…
。住めば都ですから…。


※豊夢創屋では、昭和51年(1976)測図の1/2500地形図を旧浜松市全域所有しています。
  また、昭和41年測図の1/10,000地形図の旧浜松市のほぼ一帯も所有しております。


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